こんにちは。
rivr peakの森本です。
フライロッドについて、これまでで一番工数を掛けて作ったものが出来上がりつつあるので、紹介もかねて久しぶりに書いてみました。
どんな釣りでも該当すると思いますが、ロッドはタックルの中で一番重要なものの一つなんですよね。
特にフライフィッシングにおいては、リールは一般的に言えば2番目の商品だし、フライラインやリーダーも重要ですが、極端な話をすると少々欠点があっても釣りはなりたってしまう。
ロッドはそうはいきません。狙う魚や投げる距離によって適正なものじゃないと、使い勝手が悪くなりすぎる。
なによりタックルの中でダントツに目立つ。
だから各メーカーさん、ロッドに一番力を入れてる場合が多いんです。
river peakは正直、ロッドについてはまだまだ経験不足な点があり、パッとしないものが多いと言われ続けてきました(笑)
渓流でヤマメを釣るための本物の2番ロッドを作りたい
と思い始めたのは、広い川で釣りをするようになったココ2年くらいの話。
それまでは山や、狭いところばかりで釣りしてました。
それはなぜかって広いところでほとんど釣りしたことなかったのと、しても釣れなかったからw
東日本のようにトラウトがいる広い川が少ないっていうのもありますけどね。
実際やってみて思うのは、僕なんかより皆さんの方がよっぽどご存知だと思いますが、広い川ってスローな流れが多くて、人の気配や着水音ですぐ魚に気付かれちゃう。
人の気配で気付かれるのは立ち位置や魚との距離の問題。
キャストで気付かれるのはラインの影や着水音の問題。
これを解決できるのは極力細いラインを、ある程度飛距離を出しつつ、正確にキャストできるロッド。
0番~1番じゃ繊細すぎて使い道が限定されるし、3番は汎用で万人受けするけどもう少し繊細さを出したい。
では0~1番の繊細さを出しつつ、3番のようなキャストのしやすさも残したい。
それなら2番しかないなと思い、さっそく概要を設計し試作作りを開始しました。
ブランクスの製作
ブランクス製作は、今回最初から決めてました。
日本国内で作ろうと。
海外で作る場合、機械巻き製造なら圧倒的にコストは安い。
もちろん手巻きもできますが細かいオーダーがやりにくいのと、昔からの流れで逆並継(ロッドの接続部が上かぶせ)がデフォルトで並継竿は不得意な工場が多いです。
逆並継がフライロッドの標準みたいになってる昨今ですが、それだとかぶせてつなげる形になるので、全体的に太い竿になりがち。
その分、強度は出ますがアクションも硬いロッドにもなりがちです。
また、並継だと竿を振った時に、ピースがスッポ抜けやすいと言われますが、それは大きく負荷がかかる高番手ロッドの話で、低番手ロッドに関しては大丈夫かと思います。
実際に並継の竿は、日本で出回ってますし当社でも1本リリースしてます。抜けて飛んで行った例はいまのところありません。
並継が得意な細かいオーダーを融通してくれる日本のブランクスメーカーに依頼を行いました。
ブランクス材料の難しさ
求めている2番ロッドをオーダーするのはたいへんです。
ロッドって材料だけとっても大きく分けてカーボン、グラスの2種類。
それぞれシート状のものを丸く巻き巻きしてロッド形状に仕上げます。
このカーボンとグラスのバリエーションの多いこと多いこと。。。
カーボンを例にとると「弾性率」とカーボンシートの「厚さ」
弾性率はおおまかに「低弾性カーボン」「中弾性カーボン」「高弾性カーボン」とあって
高弾性⇒軽い、張りがある、折れやすい
低弾性⇒重い、粘り強い、折れ難い
と特徴があります。
グラスはおおよそ低弾性カーボンをより重く、粘り強く、折れ難くした素材です。
さらに、それぞれにシートの厚さがあり、どの厚さを採用して巻くか選択しなければいけません。
これを、ロッドの部位(4本継ロッドなら4本とも)ごとに決める必要があります。
でも、、上記を完璧に指定したブランクス製作の依頼など、うちにはできません(笑)
ある程度の指定をした試作品を作り、出来上がった物に対して修正オーダーをかけていきます。
ブランクス試作4回
試作1度目
中弾性カーボンのみで製作、出来上がってきたものにを一振り。
硬い、、、
先端はいい感じだけどバットが強すぎて3~4番ロッドのティップアクションロッドの完成です。
ガイドを仮止めした試投するまでもなく、失敗と判定しました。
試作2度目
1回目でダメだったバット部をどうにかする必要あり。
柔らかくするためには素材の変更か、巻きを細くするの2通り。
ブランクスメーカーより、カーボンにグラスを混ぜたコンポジットブランクにしたらどうかという提案あり。
おおよそカーボンとグラスの比率を半分ずつにし、さらにバット部含め全体的に少し細く設計し直しました。
出来上がったものは、それでもまだバットが固い。
ガイドを仮止めして、少し重くなったとしてもたぶん固いなと思い、仮止めも行わずにボツ。
試作3度目
これ以上バットを細くすると強度が心配なので、グラスの比率を各ピース上げることにしました。
ブランクス全体でいくとグラス70%、カーボン30%くらい。
出来上がったものを振ってみた結果・・・ いい感じやん!
ガイド付けたらもう少し曲がるようになってさらにいい感じ。
ガイドは固定部分を少なくするため、シングルフットにしました。
今夏、これで自分自身で何度か釣りに行ってみて、さらにテスターの方に送ったりお披露目会したりで、3か月程度テストを行いました。
その結果は、キャスト時にバットにブレが残ることが判明。
バットが少し弱かったんです。
グリップの少し上に手を添えたらブレがなくなっていい感じ。
このブレのためにまた作り直すのか、、、
とウンザリしながらも、もう一度作り直し。
試作4度目
バット部に薄いグラスをもうひと巻。
改めてビルディングしてみて完成、ブレも軽減でき理想の2番に仕上がりました。
できあがり
最終的におおよそグラス75%、カーボン25%のコンポジットロッド。
(正確な数値は発売時に)
「グラスらしさ」を残しながら、カーボン補強で100%グラスにありがちなダルさを抑えてあります。
スペックは8ftの2番、ミディアムスローの4ピース。
魚を掛けた時にはバットまでしっかり曲がりですよ^^
いま量産中です。
発売は来年2月以降。
何本か完成次第、いろんな人にレビューにしてもらう予定なので、よかったら見てみてくださいね♪